懸想









明日は私の大好きな人の誕生日です、ほほ。


「俺達、10も年の差があるんだよ」
ってさ、そういうのだけちゃんと教えてくれるんだね。
教えてくれなくても知ってるし、わざとそういうのから目を背けていること、分かっていて。?ふ。


数字の羅列のこと、嬉しそうに話す、全然わかんないけど、嬉しいなら私も嬉しいよ。
うん、って顔して笑って少しだけ頷いてさよなら、を言う、律儀なそういうとこ。
窓際の陽に当たる白い肌が綺麗でした。
ね、私の青春は全部貴方のものだった。
紛れもなく、1人の女子高生の3年を全部奪い去ったこと。

きっと自覚はない。そんなのしてくれなくていいけど。
何もしてくれなくていいよ、ただね。
私にちゃんと笑いかけて。
もっと貴方のこと教えて。
少しだけ私のこと考えて。
ふふ、嘘です。



嘘です。



誕生日おめでとう。

大好きです。




これはほんとです。


ね、わたしもういなくなります。
3年間ずっと迷惑をおかけしまして、。
ごめんね。きっと許してね。
最初に見た時からずっとずっと好きでした、
何があろうが、貴方が笑ってくれるから、私はずっと立っていられました。
悲しいこと、苦しいこと、寂しいこと、何1つ教えてあげなくてごめんなさい。
教えてくれなくてもいいと思うけど。だよね。

貴方は私のこと何も知らない。

私、貴方の前でほんとに辛いことを言ったことも、泣いたこともありません。
一番貴方に聞いて欲しかったのに。
一番貴方に聞いて欲しくなかったから。
貴方と程々に仲のいいあの人は、私のことを貴方より知ってます。
私にいつも優しくしてくれました。
多分、誰より。
でもそれでも貴方の前では何も言えなかったの。
3年経っても言いたいこと一つも言えません。
貴方は自分の容姿に自信が無いというけど、私は貴方の笑うとただの線になっちゃう目も、切りすぎの前髪も、細い腕も、長い指も、全部好きでした。大好き、大好きです。
貴方の笑顔が、本当に可愛いと思っていました。
困った時の顔も。
私の身長に合わせてしゃがんでくれるその優しさも。
顔に似合わず男前なくしゃみするとことか、いつもハンカチ常備してるところとか、ほんとは教室の後に座ったら黒板が見えないくらい目が悪いのに、頑なにコンタクトをしないとことか。
少しでもお世話した生徒のいる学年のためなら、ちゃんと苦手な朝も振り切って、なんの得にもならないお仕事を引き受けてくれるところ。
少しだけ空回りが多いところ。
誰より見てきました、大好きでした。
全部が大好きでした。
全部言いたかったこと。何一つ言えなかったこと。
ね、私にちゃんと「頑張ってるね」って言ってくれたのは、貴方だけだったんだよ。
頑張ったら褒めてくれる、ちゃんと見ててくれた。
今更覚えてないかもしれないけど。
その全部に救われてた人間がちゃんといます。

最初から、私のことなんてその目に映っていないの知ってたよ。
でもきっと、それだから好きだったんだと思います。
今は言える気がしないけど、数ヶ月後の私はどうだろ。
もうどっちでもいいの。
今更声に出して言わなくたって、知ってるだろうし。
わざわざ言葉にすることで、平べったくプレスされてしまうくらいなら、なにも言わなくていいし。
それでも言いたかったら多分言うけど。
最後に迷惑かけちゃうけど。
ちゃんと私とさよならしてください。

寂しいからまた会いに行くかもしれないけど、好きに幸せになってくれて大丈夫です。
貴方の左手の薬指に異物が絡まってようが今更文句は言いません。
言えるような立場でもありません。
きっと私もなんとかして、幸せになるので。
また会った時、次こそは、私服の感想聞かせてください。



ばいばい、27歳のかみさま。